リフォーム失敗を防ぐ！検討前の最重要チェックポイント

リフォームを開始する前に、誰が、いつ、どの程度の介護を必要とするかを明確にすることが費用対効果を最大化する鍵です。

チェック1: 介護の進行度と将来の利用想定

要介護度が比較的低い段階（要支援～要介護1程度）では手すりや段差解消で済みますが、将来の車椅子や介助の必要性を見越した間取りの設計が不可欠です。

• 現状の確認: 現在の要介護度と、今後5年程度で想定される介護の進行度をケアマネジャーに相談し、客観的な評価を得ます。
• 移動手段の決定: 杖での歩行が中心か、車椅子が必要になるかによって、廊下や通路の幅の設計が大きく変わります。

チェック2: 介護保険と補助金制度の活用

費用の自己負担額を最小限に抑えるため、公的な補助制度を確実に活用します。

• 介護保険の住宅改修費: 要介護認定を受けている場合、20万円を上限に、自己負担1割～3割でバリアフリー工事が可能です（申請手続きが必須）。
• 補助金の対象工事: 手すりの取り付け、段差解消、滑りにくい床材への変更などが対象です。間取り変更（部屋の増築など）は原則対象外のため注意が必要です。

専門家が教える失敗しないバリアフリー間取り設計

リフォームで優先すべきは、高齢者の生活動線（寝室、トイレ、浴室）の安全と移動のスムーズさです。

ポイント1: 通路・廊下の幅と配置（車椅子対応）

車椅子での移動や介護者が横に並んで介助するスペースを確保することが、将来の失敗を避けるための最重要な対策です。

• 廊下幅: 最低でも80cm（車椅子が通れる幅）を確保。介助を考慮すると90cm以上が推奨されます。
• 曲がり角: 車椅子が回転できるスペース（120cm～150cmの回転半径）を確保します。
• 動線集約: 寝室とトイレ、浴室を同一のフロアに集約し、移動の距離を最小限に抑える間取りにします。

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ポイント2: 浴室・トイレの安全とスペース確保

事故が最も発生しやすい場所である浴室とトイレは、段差解消とスペースの確保を徹底します。

• トイレ: 便器の両側に手すりを設置できるように壁を補強。車椅子からの移乗を考慮し、扉を引き戸に変更するか、十分なスペースを確保します。
• 浴室: 段差を完全に解消し、滑りにくい床材へ変更。介護者が体を洗うために入るスペースや、シャワーチェアを置くスペースを確保します。

その他：費用対効果を高めるための具体的対策

対策1: 扉を「引き戸」に変更する

開き戸は車椅子での通過が困難で、転倒時に内側から開けられなくなるリスクがあります。玄関、トイレ、居室の扉は優先的に軽い力で開閉できる「引き戸」に変更することを検討します。

対策2: 照明とスイッチの位置

高齢者は視力が低下しているため、間接照明など眩しすぎない十分な明るさを確保します。また、手すりを利用していても操作しやすいよう、スイッチは通常よりも低い位置（床から100cm程度）に設置することが推奨されます。